欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は30日、アイルランドの米アップルへの法人税の優遇措置が違法な補助金にあたるとして、アイルランド政府に対して追徴課税するように指示した。EUの試算によると、追加の徴税額は最大130億ユーロ(約1兆4820億円)に上るという。
欧州委は、アイルランド政府とアップルが1991年と2007年に結んだ税に関する取り決めを問題視。この取り決めに基づく税の軽減が違法な補助金にあたると判断した。
欧州委によると、アップルはアイルランドに設立した子会社が製造業者から製品を買い取り、欧州やインドなどで売った形にして海外での収益の多くを集めていた。この子会社が、アイルランド政府の課税対象にならない、実態のないペーパーカンパニーに収益の大半を移していたため、課税対象の所得が大幅に圧縮されていたという。
この結果、アップルでは、この子会社にかかる実質法人税率が14年に0・005%にとどまるなど、アイルランドの法人税率(12・5%)を大きく下回っていた。欧州委はアップルの別のアイルランドの子会社でも、同様の仕組みで税金が軽減されたとみている。
この税優遇の取り決めは15年に終了しており、現在は適用されていないという。欧州委は14年までの過去10年間に徴収されるはずだった法人税の総額のうち取り損じた分(最大130億ユーロ)を、違法な補助としてアイルランド政府が取り戻すように指示した。
ベステアー欧州委員(競争政策…