画像:上陸した早期脊椎動物の復元図 作成・劉野
中国の科学者はゲノムデータ分析により、古脊椎動物が水中から上陸する進化の歩みを解明し、鍵となる進化の問題に答えを出した。古代の魚類が上陸前に終わっていた鍵となる準備を見つけた上、浮袋の起源が原始的な肺であることを確認し、肺と浮袋の関係に関するダーウィンの仮説を証明した。この重大成果は学術誌「セル」の最新号に掲載された。光明日報が伝えた。
水の浮力を利用せず浮袋によって身体運動を支えるとともに、水中酸素の呼吸を大気中酸素の呼吸に変えるにはどうすべきか。水生から陸生への進化において、脊椎動物は多くの障壁を克服する必要があった。論文の筆頭著者で、深セン華大生命科学研究院の畢旭鵬研究員は「陸地脊椎動物の起源は常に、生物の進化の研究で注目されてきた。私たちの祖先が水から来たことはすでに共通認識になっているが、魚類の上陸において身体構造や生理機能に大きな適応的突然変異が生じた。例えば魚のひれが四肢になり身体運動を支えるようになり、鰓呼吸が肺呼吸になった」と述べた。
現生の両生類は上陸に成功した脊椎動物とされているが、最も早く上陸した「先遣隊」はすでに長い歴史の中に埋もれている。幸運なことに、ポリプテルス、チョウザメ、アミア・ カルヴァなどの原生種が多くの「先遣隊」と類似する生物学的特徴を留めている。例えばセネガルのポリプテルスは原始的な肺を持ち、水面から離れても一定期間生存できる上、酸素濃度が極めて低い環境において背中の噴水孔から呼吸することができる。論文の連絡著者で、深セン華大生命科学研究院副院長を務めるコペンハーゲン大学終身教授の張国捷氏は「この研究はポリプテルスなどの古代魚から着手し、魚類の解剖学、古生物学、比較ゲノミクスなどの多くの学際的手段により、脊椎動物の水生から陸生への進化に関する遺伝の基礎を解明した」と述べた。
論文の連絡著者で、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の朱敏研究員は「ダーウィンはかつて肺と浮袋が同じ起源を持つ組織であるとする仮説を打ち出した。私たちは構造と遺伝子発現によってこの仮説を証明するとともに、進化の時系列を確認した。すなわち浮袋が原始的な肺から進化したということだ」と強調した。論文の連絡著者で、西北工業大学の王文教授はさらに「古代魚の肺や浮袋の表面には血管が密集しており、酸素の拡散と輸送に役立った。一方で、一部の肺の特異的発現遺伝子が魚類の祖先の体内に見られるのは、原始的な肺を形成した分子的基礎が魚類の上陸前に構築されていたことを暗示している」と説明した。
心肺の協同進化は、脊椎動物の上陸にとって非常に重要だ。魚類の「1心房、1心室」から人類の「2心房、2心室」へと変化し、心臓の構造が整うようになり、機能が複雑になった。張国捷教授は「私たちはこの進化のプロセスにおける機能革新と関連する遺伝的証拠を見つけた。新たに発見された遺伝子調節エレメントは人類の心疾患と関連している。種の進化プロセスに基づく比較分析は、生物の複雑な性状の形成メカニズムの解明に重要な手段を提供するとともに、生物医学の研究に有力なツールを提供している」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年2月18日