コンピューターキットなどが装着できる鯖江式の新しいメガネをかけた福野さん。これをさらに進化させ、ウェアラブル端末に応用できないか開発中だ
全国のメガネ枠生産の9割を占める福井県鯖江市が、ITベンチャー経営者や女子高校生らの力を活用した新たな産業づくりに踏み出している。若者を中心とした住民目線を生かし、行政データを役立てるなどのユニークな取り組みだ。伝統産業にあぐらをかかず、「人材」を地域資源に地方創生を目指している。
鯖江でIT会社社長をつとめる福野泰介さん(37)は現在、メガネにつける情報端末の開発を企画中だ。観光地情報やバス・列車の運行状況が場所や時間、その人の関心に応じて自動的にレンズ面などに表示されるウェアラブル端末だ。
「行政データを公開してくれませんか」と福野さんが市に訴えたのは2010年12月。「住民のサービス向上に直結します。鯖江から全国や世界に発信できます」と市長にアピール、快諾を得た。このままではデータ公開で欧米に先を越され、端末開発で後れを取るとの危機感があった。
行政データの公開は約150。…