4年に1度の祭典がいよいよ迫ってきた。14日にロシアで開幕するサッカー・ワールドカップ(W杯)。今大会も多くの日本人サポーターが現地を訪れる。ところが、どうも浮かない表情のファンも少なくない。そこには、サッカーを真剣に愛するが故の複雑な心理があった。
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【特集】2018ワールドカップ
2018ワールドカップの試合日程
5月30日、国際親善試合のガーナ戦。0―2で敗れ、日産スタジアム(横浜市)は拍手とブーイングが入り交じる異様な雰囲気となった。
この日、ゴール裏に陣取るサポーターの中に変わった旗を掲げる一団がいた。
「ありがとう!ハリル!!」。4月に解任されたハリルホジッチ前監督への感謝のメッセージ。前監督の名前をプリントしたTシャツ姿も目立った。その一人、名古屋市の会社員、高須智子さんに理由を尋ねてみた。
「ハリルとW杯に行きたかった、というのが本音です。ハリルジャパンの最後の『答え合わせ』が見たかった」。そこで感謝のメッセージを掲げる取り組みに加わったという。
ハリルはそんなにサポーターに愛されていたのだろうか――。話はそう単純ではない。むしろ「ビジネス的」な観点から、現状に理詰めで不満を漏らすサポーターの声が聞こえてくる。
日本―コロンビア戦を現地で観戦する予定の会社員、萩谷賢さん(35)は「PDCAが回ってないんですよ」と言う。
PDCAとは「計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act)」のサイクルを意味するビジネス用語。近年は物事を改善していくのに広く用いられる考え方。日本サッカー協会では、ハリル流のサッカーを「評価」し、日本サッカーの「改善」につなげる前に、中途半端に前監督を切り捨ててしまった、という指摘だ。「これでは、3年以上やってきた意味がない。もしW杯で勝てても、あの場当たり的な判断が正当化されてしまうと思うと喜べない……」と萩谷さん。
日本代表サポーターとしての著…