陸自のシンボルマーク
陸上自衛隊が記念品などに使うために作ったエンブレムが物議を醸している。日本刀をあしらったデザインで「日本人らしい強さ」を表したというが、陸自の装備に日本刀はない。かつての日本軍を思い起こさせるとして、「アジア諸国への配慮が足りないのでは」との見方も。自衛隊と日本刀の組み合わせ、是非は――。
上段に日の丸、下に陸自のモチーフの「桜星(おうせい)」。そして真ん中には、交差する抜き身の日本刀とさや。エンブレムは「桜刀(さくらかたな)」と名付けられ、5月にホームページで公表された。
陸自の中枢・陸上幕僚監部の広報室によると、安倍政権が掲げる「積極的平和主義」を具現化したデザインだという。国連平和維持活動(PKO)や国際共同訓練などで他国軍と交流する際、エンブレムを刻印したメダルや盾を記念品として贈る予定だ。
なぜ日本刀なのか?
陸幕広報によると、古くから武人の象徴とされてきたことから選ばれたという。「外国の陸軍のエンブレムにも銃や銃剣を使う例が多い。陸自では日本人らしさを示す観点から刀が適切だと考えた」
これに対し「国内のみならず海外でも大きな反発を引き起こす」と主張し、エンブレム撤回を求める活動を始めた人もいる。埼玉県ときがわ町の市民団体代表世話人、篠原陽子さん(66)は6月、オンライン署名サイト「Change.org」で署名集めを開始。約3週間で2万2千人以上の署名が集まった。篠原さんの父は陸軍士官学校を経て、第2次世界大戦中、中国・河南省で警備部隊に配属されたという。「軍刀は帝国日本軍の略奪や脅迫を思い起こさせるシンボル。自衛隊のエンブレムにふさわしいとは思えない」
民主党政権時に観光庁の事業に…