文部科学省は8日、教科書会社が検定の過程で教員に意見を聞き、謝礼を渡すなどしたケースについて、次の教科書検定の申請を認めない新制度を検討するよう教科用図書検定調査審議会に要請した。来年6月ごろまでに罰則など具体的な内容を詰め、2018年度の検定(20年度使用分)からの導入を目指す。
教科書謝礼、提供社には検定申請認めず 文科省が方針
教科書検定は、小中学校は4年ごと、高校はほぼ毎年行われ、教科書の著作者や発行者であれば誰でも検定を申請できる。だが昨年以降、小中高校の教科書を発行する会社が教員らに検定中の教科書を見せて意見を聞き、金銭や歳暮などを提供するなど、教科書採択への影響が疑われる例が相次いで発覚。文科省は透明性を確保するため、不公正な行為があった会社の次の申請を受理しない方針を決めた。審議会では「不公正」の判断基準なども議論する。
また、文科省は謝礼問題に関連し、教科書の訂正申請のあり方についても審議会に検討を求めた。教科書会社による訂正申請は小中高校で年間約5万件に上り、大半が検定から採択前に集中している。この間に各社が多くの教員に意見を聞いて「見本」を作るためで、文科省は謝礼問題の遠因とみている。緊急度の低い訂正申請については、見本を作った後に申請させることも想定している。(水沢健一)