ザハラ・ネマティ=坂本進撮影
自力で歩くことはできないが、彼女は二つのものを手に入れた。
リオパラリンピック
リオパラ日程・記録
一つは、パラリンピック・アーチェリーの女王としての絶対的な地位、もう一つは五輪のイラン代表の座だ。ザハラ・ネマティ。世界でも稀有(けう)なパラリンピックと五輪に出場する31歳のアスリートの底力は、やはり次元が違った。
15日の女子リカーブ個人(車いす、立位など)。2人の選手が、矢を打ち合って得点を競う決勝で、ネマティはあと1セット落とせば負け、という瀬戸際にいた。だが、動じない。そこから3本連続で、70メートル先にある半径6・1センチの中心円へ。逆転勝ちで、2大会連続の金メダルを獲得した。
勝負強さは、イランの女性スポーツ界の開拓者として歩んできた過程で作られた。テコンドー選手として五輪を目指していたが、18歳で交通事故に遭い、下半身が不自由に。車いすでもできるアーチェリーに出会ったのは21歳のときだ。
以来、国内の健常者の大会で鍛…