安倍晋三首相の握手に応じる横田早紀江さん(中央)、左は拉致被害者の曽我ひとみさん=17日午後、東京都千代田区、角野貴之撮影
北朝鮮による拉致被害者の救出を訴える「国民大集会」が17日、東京都内であった。相次ぐ核実験やミサイル発射の問題は切り離し、被害者の帰国に向けた実質的な協議を実現させるよう政府に求める決議を採択した。
拉致被害者家族会や支援団体「救う会」の主催で、約1千人が参加。安倍晋三首相も出席して、「国連の場でも拉致問題の解決の必要性を訴え、国際社会と連携を強めたい」とあいさつした。
拉致被害者の曽我ひとみさん(57)は15日の「中秋の名月」に絡めて、いまも帰国していない母・ミヨシさんへの思いを語り、「北朝鮮にいる時に何度もお月様を眺め、日本に帰れるようお願いしたけど、帰国後は日本で『母を帰して』と月にお願いしている」と話した。横田めぐみさんの父・滋さん(83)は体調を崩して欠席したが、母・早紀江さん(80)が「罪もない人が拉致されて全く違う世界に押し込まれ、それを助けることができない。そんなことでいいのか」と訴えた。
集会に先立ち、被害者家族らは安倍首相と懇談。田口八重子さんの兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(78)は「拉致被害者を取り返すという強い意思を示し、日本が一丸となって取り組んでほしい」と求めた。(佐藤恵子)