結婚移民者向けの韓国語講座。韓国社会に早く定着できるよう支援する=韓国・楊州市、稲田清英撮影
韓国人と結婚して外国から移り住む「結婚移民者」への支援に、韓国の政府や自治体が力を入れている。2000年代以降に本格的に増えており、韓国語や生活習慣などを学ぶ機会を提供し、社会にとけ込めるようにする狙いだ。少子化対策につなげる期待もある。
ソウル首都圏、楊州市内にある「多文化家族支援センター」。週末の朝、韓国人男性と結婚して移り住んだ東南アジアや中国出身の女性が十数人、集まってきた。教室には「結婚移民者 韓国語教室」とある。
子どもを抱きかかえて席につく女性も多い。「ファイティング(頑張りましょう)!」と講師が呼びかけると、緊張気味だった女性らからも笑みがもれた。その1人、フィリピン出身の女性(30)は2年前に、中小企業で働く韓国人の男性(40)と結婚して移り住んだ。昨年には息子も出産している。「韓国語はとても難しく、まだ十分にできない。とても助かります」
韓国経済の成長や農村部での結婚難などを背景に結婚移民者は1990年代から増え、00年代以降、本格的に増加。ここ数年は伸びが鈍ったが、韓国政府によると15年で約15万人で、韓国籍を取得した人を含めると約24万人いる。結婚移民者と韓国人配偶者の家庭を中心にした「多文化家族」は約80万人、20年に100万人に増える見通し。人口約5千万人の韓国で少しずつ存在感が高まっている。
結婚移民者の大半が韓国人男性と結婚した女性だ。韓国人は農漁村部の男性や都市部でも比較的低所得の男性が多いという。ソウル近郊でバス運転手として働く男性(52)は悩んだ末にカンボジア出身の女性と結婚した。「収入も多くなく若くもなく、韓国人女性との結婚はなかなか難しかった」と振り返る。
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