阪神百貨店が入る新ビルの完成イメージ=阪急阪神HD提供
阪急ホールディングス(HD)と阪神電気鉄道が経営統合した阪急阪神HDが発足して、10月1日で10年を迎える。大阪と神戸の間を並走する鉄道会社どうしの統合で、鉄道利用者にとって直接の利点は少ないままだが、不動産開発の分野では成果も出始めた。
特集:“テツ”の広場
大阪キタの中心地・梅田に、白いフェンスで覆われた一角がある。阪神百貨店梅田本店が入る大阪神ビルディングの一部を取り壊して進む、新しいビル建設工事の現場だ。
道路を挟んで隣にあった新阪急ビルの跡地と合わせ、ビルの一体開発が進む。地番にちなみ、「梅田1丁目1番地計画」と名付けられた。百貨店やオフィスなどが入る地下3階、地上38階、延べ床面積は約26万平方メートルのビルが建つのは、2022年の予定だ。
「統合の象徴だ」と阪急阪神HDの角和夫社長は位置づける。両社は長年のライバルで、一体開発は「統合しなければありえない」(角社長)ものだったからだ。
不動産仲介の三鬼商事の担当者は「公共交通にもアクセスしやすく、グランフロント大阪よりも好立地と言える。人気が出ないはずがない」と太鼓判を押す。