フリーアドレスのオフィスで話す松本晃・カルビー会長兼CEO(右)=東京都・丸の内、堀英治撮影
かっぱえびせんやポテトチップスなどのロングセラーで知られるカルビー。米ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人のトップだった松本晃氏は2009年に会長兼CEOに就任すると、「女性の活用なくして、カルビーの成長なし」と宣言。その後、女性の管理職比率は急上昇し、業績も伸びています。なぜ、ダイバーシティー(多様性)の取り組みに力を入れるのでしょうか。
午後4時過ぎ。カルビーの松本晃会長兼CEO(最高経営責任者)が網干(あぼし)弓子さんに声をかけた。「もう遅い時間じゃない。早く帰りなさい」
網干さんはシリアル食品「フルグラ」の商品企画を担うフルグラ事業部の企画部長。2010年度に売上高31億円だったフルグラは今年度、300億円を突破する勢い。どうやって消費者に買ってもらうか、食べてもらうか。そんな知恵を絞って急成長を支えた。
4歳になる息子がいる。育児休業から復帰して午前9時~午後4時の時短勤務。「だらだらせずに効率よく成果を上げることが求められています」
上司に認められれば社員は週2日まで在宅勤務ができる。網干さんは週1回程度、自宅で商品戦略やプレゼンテーションの資料を練る。「パソコンと携帯電話があればどこでも働ける。机にしがみついている働き方は前近代的ですね」
在宅勤務の日は、主婦の気持ちになってスーパーの売り場を観察する。新商品に結びついたこともある。
豆腐大手、相模屋食料(前橋市)の「マスカルポーネのようなナチュラルとうふ」とパッケージに書かれた商品を見つけた。柔らかくてコクのある味わいがする新しいタイプの豆腐。あるとき、「フルグラとつながるかも」と考えた。今年3月に、フルグラを相模屋食料の豆腐と混ぜて食べる新商品が誕生した。
網干さんは「子育てだけでなく、親の介護も考えると、男女を問わず、働いた時間にとらわれない成果重視の働き方はすごく重要だと思います」と話す。
米ジョンソン・エンド・ジョン…