発作・急病による交通事故件数の推移
運転手の発作や急病に起因する交通事故が、年間200件以上も起きている。9月にも東京湾アクアラインで高速バスの運転手が脳出血になり、接触・衝突事故が起きた。国土交通省は、運転手の急変時に車が自動的に安全に停止するシステム普及のための指針を作成、メーカーも実用化に動き出した。
9月13日午後6時15分ごろ、羽田空港から千葉県木更津市に向かって東京湾アクアラインを走行していた高速バスが、中央分離帯に接触、前方の軽乗用車に衝突した。運転手が脳出血で運転できなくなっていた。異変に気付いた乗客がブレーキをかけ、乗客33人に目立ったけがはなかった。
警察庁によると、運転手の発作や急病による事故は、2015年までの5年間で、年に215~280件発生している。バス・トラック・タクシーの事業用車両に限って国交省が調べたところ、08~14年に年間68~105件起きたことがわかった。最も多かった12年は、事業用車両の事故全体の2%で、150人の死傷者が出た。事故分析(13年)では、原因となった運転手の病気として脳疾患が22%、心臓疾患が21%と多かった。
道路運送法は、運行会社に運転手の健康状態の把握を義務づけている。国交省は脳ドックや人間ドックの受診も推奨しているが、健康上の問題を「100%発見できるとは言い切れない」(担当者)。
そこで国交省は今年3月、運転手の異変を検知した車両が自動で安全に停止するシステムの構築を目指し、世界に先駆け、ガイドラインを作成した。メーカーが実用化する際の性能基準となるものだ。
ガイドラインは、運転手の体調…