東京都の築地市場(中央区)から移転する予定の豊洲市場(江東区)で、地下水から環境基準をわずかに上回るベンゼンなどの有害物質が初めて検出された問題で、安全性を調べている都の専門家会議の平田健正座長(放送大和歌山学習センター所長)が3日、「今後の推移を見守るべきだ」との見解を示した。
特集:豊洲移転問題
見解では、地下水中の汚染物質濃度について「土壌汚染対策の実施後に変動しながら低下していくことはよくある現象」と指摘。基準超の物質が検出された結果について「一時的な上昇をもって判断するものではない」とした。見解を市場業界団体などに伝えたといい、調査結果に関しては今後、専門家会議で審議するという。
都は土壌汚染対策を終えた2014年10月以降、地下水の有害物質の有無を調べるモニタリングを実施。これまでは基準を超す濃度の物質は検出されなかったが、先月29日に公表された第8回の検査では、ベンゼンとヒ素がそれぞれ基準をわずかに上回る濃度で検出されていた。
小池百合子知事は8月31日に豊洲市場への移転延期を表明した際、地下水調査の結果を判断材料にする考えを表明。第8回分の結果については「専門家の意見を拝聴して総合的に判断したい」としていた。