本来の形とみられる甲巻23枚目(右)と11枚目=修理報告書「鳥獣戯画 修理から見えてきた世界」から
京都市の高山寺(こうさんじ)に伝わる国宝の絵巻「鳥獣人物戯画」(平安~鎌倉時代、甲乙丙丁の4巻)の甲巻で、中盤と後半の絵の順序が入れ替わっていたことが、紙に残ったはけの跡の調査で裏付けられた。場面のつながりが不自然な箇所があることは以前から指摘されていたが、改めて紙の状態から確認できた。
9月に刊行された修理報告書「鳥獣戯画 修理から見えてきた世界」(勉誠出版、京都国立博物館編)で発表された。鳥獣人物戯画のうち、ウサギ、カエル、サルなどの動物を擬人化して描いた甲巻は特に有名だ。
朝日新聞文化財団の助成で、2009年から4年かけて行われた大規模な修理で、絵を1枚ずつに分離し、裏打ち紙をはがして透過光で調べた。
すると23枚目と11枚目は、紙をすいて乾かす段階でついたはけの跡がつながっており、元は1枚の紙だったことを確認した。23枚目と11枚目は他の紙より小さく、合わせて1枚のサイズになる。
修理を監督した一人、鬼原(きはら)俊枝・元京都国立博物館列品管理室長は「絵巻の形になってから切り離されたのだろう。現在の16~23枚目の後に、11~15枚目が続くのが制作当初の順序と考えられる」と話す。
つなぎ直すと、20枚目以降は…