広島県東広島市の山陽自動車道「八本松トンネル」で10人が死傷した事故で、道路交通法違反(過労運転の下命)と労働基準法違反の罪に問われた「ツカサ運輸」(埼玉県川口市)役員、後藤隆司被告(42)の初公判が5日、広島地裁で開かれ、後藤被告は起訴内容を認めた。検察側は「トラックを走る凶器とさせた」として懲役1年6カ月を求刑し、公判は即日結審した。
特集:広島トンネル事故
冒頭陳述で検察側は、後藤被告が同社の統括運行管理者として、男性運転手(33)=自動車運転死傷処罰法違反罪などで有罪判決=が過労のため正常な運転ができないおそれがあると知りながら、事故前日の3月16日に運転を指示したと指摘。事故後は会社側の責任追及を免れるため、運転手の勤務時間が短くなるよう日報を書き換えていたことを明らかにした。
事故をめぐっては、法人としてのツカサ運輸も道交法違反などの罪に問われ、検察側は論告で罰金50万円とした。(久保田侑暉)