iPS細胞を使った創薬のイメージ
理化学研究所(埼玉県和光市)と先端医療振興財団(神戸市)、参天製薬(大阪市)の3者は、iPS細胞を使って目の難病の治療薬を探す共同研究を始めたと、6日発表した。うまく候補が見つかれば、その後の臨床試験につなげたいという。
3者は共同研究室を神戸市に設置。研究期間は3年間で、一昨年に世界で初めてiPS細胞を使った移植手術を手がけた理研の高橋政代プロジェクトリーダーが責任者を務め、ほか7人の研究者や医師らが参加する。
理研が技術を持つ、iPS細胞を変化させて立体的な網膜組織を作る技術を活用。その組織に手を加え、網膜色素変性症や加齢黄斑変性といった目の難病と同様の状態にする方法を開発する。病気と似た状態になった組織で、参天製薬が持つ薬の候補物質などを試し、治療薬となりそうなものを特定していくという。
研究費は非公表。iPS細胞を使った創薬は企業や研究機関が試みているが、今回は立体的な網膜組織を使うことが特徴。参天製薬の広報担当者は「細胞の相互作用などもある立体網膜を使うことで、新薬開発のスピードや可能性が高まるメリットがある」という。(合田禄)