障害物競走を楽しむ子どもたち=9日午後、宮城県石巻市雄勝町、葛谷晋吾撮影
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市雄勝(おがつ)町を9日、熊本地震で被災した熊本市の小中学生15人が訪れ、地元住民らによる運動会に参加した。
運動会は宿泊型体験施設「モリウミアス」(油井元太郎代表)が開催した。廃校となっていた旧桑浜小学校を改修した施設で、運動会は今回で5回目。
熊本地震直後に集めた寄付を、被災した子どもたちを招く資金に充てた。
運動会には地元の人々や卒業生、ボランティアら約100人が集まり、玉入れや借り物競走などを楽しんだ。熊本から参加した子どもたちは「くまモン体操」を披露した。
地震後の約1週間、福岡に避難していたという上村美結さん(12)は「熊本はまだ道路がガタガタのところがあり、時々地震もある。雄勝町で人の住んでいない地域を見て、熊本よりひどいところがあると感じた」と話した。
錦戸統(おさむ)くん(7)は地震の後、約3週間を車中泊で過ごした。「まだ怖いけど、今日は楽しかった」と話した。運動会に参加した雄勝町の永沼信良さん(69)は「熊本の子たちが思ったより元気で安心した」と笑顔を見せた。
モリウミアスの油井代表は「震災を経験した熊本の子たちが、東北の被災地が前に進んでいる姿を見て、何かを感じ取ってくれたら」と話した。(葛谷晋吾)