日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は21日、いまは「2017年度中」としている2%の物価上昇目標の達成時期について、「修正もあり得る」と述べた。物価が日銀の想定よりも下落しているため、目標達成時期が18年度以降に先送りされる可能性を示唆した。衆院財務金融委員会で、民進党の前原誠司氏の質問に答えた。
日銀は31日~11月1日の金融政策決定会合で、政策委員の物価上昇率の見通しを示す。7月時点では目標達成時期を「17年度中」と説明していた。遅れれば18年4月までの黒田総裁の任期中には達成できなくなる。
黒田総裁は「新興国経済が上向き、政府の財政刺激策で来年は成長率が加速する」としつつ、円高などで物価が下がった点を踏まえて「調整が必要になる」と説明した。8月の消費者物価指数は前年同月比0・5%減と6カ月連続で前年を下回った。
一方、9月に「ゼロ%程度」と決めた長期金利の誘導目標などについては「経済情勢が変わっていないのですぐに変えることは考えにくい」と述べ、当面は追加緩和しない可能性を示した。
また、年80兆円をめどとしている国債保有の増加ペースについては、「80兆円はめどにすぎない。当然、80兆円を下回ることはあり得る」と述べ、増加ペースが鈍化する可能性にも言及した。