ジャカルタで4日、知事に抗議するイスラム教徒らがデモ行進した=AFP時事
インドネシアのジャカルタで4日、イスラム強硬派の複数の団体が、少数派の中国系でキリスト教徒の知事に抗議する数万人規模のデモをした。コーランに触れた発言がイスラム教徒を侮辱するとして、「知事を殺せ」などと叫びながら目抜き通りを行進。終了予定の日没を過ぎても中心部の交差点を占拠した。
シリアの武装組織に加わったインドネシア人戦闘員もインターネットの投稿を通じて抗議しており、テロの恐れもあると、2万人近い警官や兵士が警戒した。
来年2月の知事選に立候補しているジャカルタ特別州のバスキ・チャハヤ・プルナマ知事(50)は9月下旬、「コーランに惑わされているから、あなた方は私に投票できない」という趣旨の発言をした。
これが反感を広げ、10月に宗教冒瀆(ぼうとく)容疑で刑事告発される事態に。11月に入り、シリアの武装組織の戦闘員とされる覆面男がインドネシア語で「アホック(バスキ氏のあだ名)のひつぎ」と書かれた箱を前に銃を並べる画像が出回っていた。
バスキ氏は、前任のジョコ氏の大統領就任にともなって副知事から選挙を経ずに昇格した。知事選にはほかに、元閣僚らイスラム教徒2人が立候補を表明しており、接戦が予想される。(ジャカルタ=古谷祐伸)