オバマ米大統領が4日、大統領選の民主党クリントン氏の応援集会で、共和党のトランプ氏支持の男性を「擁護」した。演説を妨害してブーイングを浴びた男性を、オバマ氏は「言論の自由」を持ち出して守り、周囲が落ち着くように説得。トランプ氏は妨害者が入ると「つまみだせ」と指示するが、オバマ氏は違いを見せつけた。
特集:米大統領選2016
激戦州ノースカロライナ州で演説中、軍服姿の高齢男性が「トランプ 米国を再び偉大に」のプラカードを手に突然立ち上がった。周囲のクリントン氏支持者は一斉に「ヒラリー」の大合唱と男性へのブーイングを始めた。
オバマ氏は「みんな静かに。私は真剣だ」と聴衆を沈静化。その上で「私たちは言論の自由を尊重する国に生きている」「彼は退役軍人のようだ。敬意を示そう」「お年寄りを敬わねばならない」と説いた。
最後にオバマ氏は「ブーイングをやめよう、投票しよう」と呼び掛けた。相手に不満を言うぐらいなら投票に行こうという趣旨のメッセージで、中傷合戦に陥る選挙戦でオバマ氏が多用してきた。接戦が伝えられる中、クリントン氏の応援を繰り返すオバマ氏。この日はハプニングへの巧みな対応能力を示した。(ニューヨーク=金成隆一)