山本有二農林水産相に対する不信任決議案を向大野新治・衆院事務総長(右から4人目)に野党4党で共同提出する民進党の篠原孝氏(同5人目)=10日午後0時43分、岩下毅撮影
環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案が10日午後の衆院本会議で採決される。自公両党や日本維新の会の賛成多数で可決され、同日中に参院に送られる見通し。ただ、TPP離脱を訴えるトランプ氏が米大統領に決まったことで、TPPの発効は極めて困難な情勢。野党は反発を強め、「強行採決」発言など失言を重ねた山本有二農林水産相の不信任決議案を同日、衆院に提出した。
10日の衆院本会議での採決をめぐっては、野党から「(採決は)新しい大統領にケンカを売るような話にもなりかねない」(民進の野田佳彦幹事長)と反発が強まっている。民進、共産、自由、社民の野党4党は同日昼過ぎ、山本氏の不信任決議案を共同提出した。
民進の山井和則国対委員長は「トランプ大統領が決まってTPP発効が困難になった矢先に強行採決するのは、国民からも世界からも全く理解されない。衆参両院で3分の2の多数を握っているおごりではないか」と批判した。
一方、自民党の小此木八郎国対委員長代理は10日、「TPPにおける政策はアベノミクスの重要な柱ということで与党も動いてきた。本会議でしっかり採決する」と述べた。与党は10日の衆院通過後、11日の参院審議入りを目指す。菅義偉官房長官は10日午前の記者会見で「(TPPについては)米国を含むそれぞれの国が国内の支持を得て手続きを進めていく、と認識している」と述べた。