働き方改革関連法案を可決した参院厚労委が散会し、一礼する加藤勝信厚労相(中央)。後方の傍聴席には過労死遺族らの姿もあった=2018年6月28日午後8時、岩下毅撮影
働き方改革関連法案が28日、参院厚生労働委員会で可決された。成立を急ぐ政府・与党に対し、野党側は「過労死を増やしかねない」と法案の問題点を厳しく批判してきたが、最終盤で足並みが乱れた。疑問を残したまま、法案は29日に成立する見通しだ。
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参院野党第1会派「国民民主党・新緑風会」の舟山康江国会対策委員長は可決後、「徹底抗戦して付帯決議も飛んでしまったら、果たしていいのか」と記者団に強調した。法案可決後、厚労委では高プロの運用など47項目の付帯決議が議決された。国民は付帯決議案を与党などと共同で出しており、その成果を誇った。
採決で国民は立憲、共産、社民などとともに法案に反対した。だが、採決の道筋をつけたのは、国民だった。
流れが決まったのは、28日昼の厚労委理事会。与党筆頭理事の石田昌宏氏(自民)は、参院の審議時間が衆院を上回ったことを持ち出し、採決を提案した。これに対し、野党筆頭理事の小林正夫氏(国民)は「付帯決議を行える環境を考えると、ぎりぎりのところだと判断した」と受け入れる考えを示した。
理事会で立憲、共産、社民の野党3党は採決に強く反対。採決を容認した国民との溝が明らかになった。
国民は、3党などが提出した島村大委員長(自民)への解任決議案にも加わらず、参院議院運営委で本会議に上程するのを与党とともに反対した。26日には採決を阻止するために、立憲などとともに加藤勝信厚労相の問責決議案を出したばかり。共闘しなかったのはなぜか。
国民の幹部は言う。「委員長の解任決議案を出しても廃案にできない。それでも出すというのは最悪の判断だ」。与党に数の力で押し切られる以上、提出には意味がないというわけだ。大塚耕平共同代表も記者会見で「足並みは極力そろえたいが、解任に値するだけの瑕疵(かし)は感じられない」と述べ、厚労委員長の運営を評価した。
ただ、国民が採決に抵抗しなかったことには批判が出ている。28日夕、大塚氏や玉木雄一郎共同代表が街頭演説を行った東京駅前。「なぜ採決に応じるのか」「裏切り者」。法案に反対する市民からヤジが飛んだ。
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