倉本洋容疑者の研究室が入る大阪大大学院工学研究科の建物=16日午前、大阪府吹田市
大阪大と民間企業の共同研究をめぐる贈収賄事件で、収賄容疑で逮捕された阪大大学院工学研究科教授の倉本洋(ひろし)容疑者(57)=兵庫県宝塚市=が、3年前から大学に届けないまま、贈賄側の建設会社2社と共同研究をしていたことが大阪府警への取材でわかった。府警は特定業者との癒着が長期間続いていた可能性があるとみて、さらに金銭の授受について捜査する。
倉本容疑者は2014年10月から今年4月の4回、耐震性能をめぐる共同研究に参加させ、研究データを提供する見返りに、2社側から計約210万円を受け取った疑いがある。贈賄容疑で逮捕されたのはいずれも東証1部上場の「東亜建設工業」(東京都新宿区)主任研究員の樋渡健(ひわたしたけし、43)=神奈川県藤沢市=と「飛島(とびしま)建設」(東京都千代田区)トグル事業部担当部長の久保田雅春(57)=さいたま市南区=の両容疑者。
捜査2課によると、倉本容疑者と両社は11年度から、鉄筋コンクリートの柱や梁(はり)の耐震性能を調べる共同研究を始めた。阪大の規定では、民間企業と共同研究をする場合、担当教授が大学に申請し、大学と企業との間で契約を結ぶ必要がある。12年度までは規定に従い、大学に共同研究を申請。大学と両社が共同研究の契約を結び、両社が学内の実験施設を使う時は大学の許可を得ていた。
しかし、13年度以降は大学に申請しないまま研究データの提供を継続。さらに、学内の実験施設を使わせ、受け持ちの学生に共同研究の論文のまとめを手伝わせていた。府警はこうした便宜の謝礼として現金が支払われたとみている。両社は、倉本容疑者が管理する複数の銀行口座に振り込んでいたという。
飛島建設によると、耐震技術の…