記者会見する全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)=17日午後、東京都千代田区
■国部毅・全国銀行協会会長(三井住友銀行頭取)
(米大統領選でのトランプ氏勝利は)正直驚いた。米国民の現状への不満や変化への期待が予想以上に大きかった。富裕層と貧困層の間で、経済のグローバル化から得られる恩恵に差が生じ、内向き志向や保護主義的な動きが広がっていることが背景にある。
トランプ新政権の動向から目が離せない。金融経済環境が大きく変わる「ゲームチェンジ」になる可能性もある。最大の懸念材料は保護主義的な貿易政策やドル安志向が強まることだ。世界的に保護貿易への傾斜が広がれば、世界経済のリスク要因にもなり得る。
トランプ氏には、世界経済の成長や国際政治の安定に向けたリーダーシップを発揮して欲しい。日本政府にはトランプ新政権との円滑なコミュニケーションを求めたい。TPP(環太平洋経済連携協定)の発効は、極めて不透明になってきたと言わざるを得ない。米国に粘り強く働きかけることが重要だ。
(2017年の春闘は)経済の好循環の流れをより強めるには賃上げの勢いを維持することが重要だ。収益が拡大した企業では賃上げが行われることを期待したい。銀行界としてはあまり(収益拡大は)ない。個別の銀行としては、組合の意見を聞いて真摯(しんし)に検討する。(全銀協の定例記者会見)