吉林省汪清林業局の大荒溝林場でこのほど、野生のアムールトラ (中国名:東北虎)が一般道の横にある林からのっそり歩み出てきて、車を止めさせた。車内の人々を圧した「目ヂカラ」はまさに「王者の風格」そのものだったという。中国新聞網が報じた。
足を止めて車を見つめるアムールトラ(撮影・葛琳)。
今月2日午後、吉林省林業調査計画院のエンジニア・葛琳さんは同僚2人と調査の仕事を終えて車に乗り、山から下りようとした時、道路の横の林にいた野生のアムールトラを発見した。
葛さんによると、野生のトラが目撃されたのは、吉林省汪清県の千年紅豆杉景勝地からそう遠くない、琿春林業局の近辺。その日、山に入って森林資源のモニタリングと評価などの作業を行った葛さんは、「山にトラがいるのは知っていたが、遭遇するとは思っていなかった。調査で山の中を1時間以上歩き回ったので、今考えると背筋が凍る」と話す。
そして、「アムールトラは道をふさぐようにして車から10メートルもない場所まで歩み寄って来たので、車を止めるしかなかった。しかしアムールトラはその場を立ち去るそぶりを見せず、道路と道沿いの林の中を行ったり来たりして、何度も立ち止まってはこっちをにらみつけていた。林に戻って行ったのはかなり経ってからだった」と振り返る。
道路と道沿いの林の中を行ったり来たりする野生のアムールトラ(撮影・葛琳)。
アムールトラが林に戻っていったのを確認してから、葛さんら3人は車を走らせてその場を離れたという。
アムールトラ・ヒョウ国家公園体制試験拠点は、吉林省と黒竜江省の境にある老爺嶺南部エリアに位置し、中国はそこで生態系修復という有益な試みを行っている。汪清県は、試験拠点の中心地帯にあり、近年、アムールトラが頻繁に目撃されている。アムールトラ・ヒョウ国家公園管理局は住民に対して、主管当局が発表するトラやヒョウの分布情報を随時確認するよう呼び掛けている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年11月4日