トランプ次期米大統領(左)と会談する安倍晋三首相=17日、米ニューヨーク、内閣広報室提供
米ニューヨークを訪問中の安倍晋三首相は17日(日本時間18日)、外国首脳として初めてトランプ次期米大統領と会談した。首相とトランプ氏は会談後、ともに信頼関係づくりにつながったとして成果を強調。ただ、1時間半に及んだ会談の内容は伏せられ、日本国内では野党から批判の声が上がっている。
首相は会談後、ニューヨーク市内のホテルで記者団に「同盟は信頼がなければ機能しない。トランプ氏はまさに信頼できる指導者だと確信した」と語った。トランプ氏も自身のフェイスブックで「素晴らしい友人関係を始められたことは光栄だ」と成功を強調した。
会談は、トランプ氏の自宅と政権移行チームの拠点を兼ねるトランプ・タワーの上層階で行われた。45分の予定から大幅に延長。両氏は適当な時期に再会談することで一致し、タワーを出る首相をトランプ氏自身が階下まで見送った。
日本の首相が就任前の次期米大統領と会うのは極めて異例。過激な発言を続けるトランプ氏との関係作りを急いだ首相と、主要な同盟国の日本の首相と会談して国内外の批判を鎮めたいトランプ氏との思惑が一致し、実現した。
会談内容について、首相は「私の基本的な考え方については話した」と記者団に説明。安倍政権の幹部によると、会談では日米関係や世界情勢などについて幅広く意見が交わされたという。ただ、詳細については首相はトランプ氏が大統領に就任する前であることを理由に説明を避けた。
トランプ氏は大統領選の期間中、在日米軍の駐留経費を日本が全額負担しない場合の米軍撤退を示唆し、環太平洋経済連携協定(TPP)からの撤退も主張。首相が今回の会談で、こうした問題についてトランプ氏の真意をただしたのかどうかは不透明だ。
これに対し、民進党の蓮舫代表は18日の党の会合で「我が国の国益にかかる話は、どう主張し何という返事が返ってきたのか。首相には説明する義務がある」と述べた。(ニューヨーク=石松恒、小野甲太郎)