入島税の導入が検討されている宮島=18日午後、広島県廿日市市、朝日新聞社ヘリから、高橋雄大撮影
世界遺産の厳島神社がある宮島(広島県廿日市市)の景観保全などのため、同市が、島を訪れる観光客らから「入島税」を徴収する検討に入った。神社周囲の森林なども遺産に指定されている島の環境・観光対策に充てる財源確保が目的で、入島者から1人100円程度を直接徴収する方法と、観光施設などの入場料に上乗せする2案が軸となっている。
国内外から宮島を訪れる人は年々増加し、2012年には400万人を突破。一方で、過疎高齢化もあって廿日市市は財政難に悩んでいる。「入島税」は、国内有数の観光地を訪れる人から税収を確保し、島内の観光案内施設の整備や景観保全などの費用に充てるのが狙いだ。
地元の住民や観光関係者らによる検討委員会が18日、同市長に報告書を提出。本土と瀬戸内海に浮かぶ宮島を結ぶフェリーの桟橋付近にゲートを設けて税を徴収する案と、水族館やロープウェーなど島内施設の料金に上乗せする案が示された。
世界遺産の環境保全などを目的とした利用料や新税は、他の地域でも試行錯誤が続く。静岡・山梨両県は14年から、富士山の登山者から1人千円の「保全協力金」を任意で募っているが、今夏の協力率は半数程度。鹿児島県屋久島町は入島税を一時検討したが、昨年3月に導入を見送った。(高島曜介)