模擬国連の委員会で各国代表となり、議題に対して札を上げて賛意を示す学生たち=24日、神戸市中央区、橋本弦撮影
神戸市で開かれていた「模擬国連」の世界大会が26日、閉会した。世界の学生たちが、本物さながらに国際問題を議論した。国内では初開催。国連で日本の存在感が高まるきっかけになればと期待が高まる。
兵庫)神戸で日本初の模擬国連始まる 学生350人集う
模擬国連は、全米学生会議連盟の主催で、今回は神戸市外国語大がホストを務めた。参加したのは10カ国から来た約300人と国内15大学の約60人。参加者は自国以外の国の代表となり、四つの委員会で23日から議論を続けた。
大量破壊兵器の廃絶をテーマにした「国連総会」では、各代表の意見表明が中断する間、議場内外で学生たちが英語で議論を始めた。「国際的な監視システムが必要だと思う」「それは我が国の核政策と折り合わないよ」
欧州のエストニア代表役を務める岡山大2年の高木理世(みちよ)さん(21)は交渉の難しさを実感したという。将来は国連の関係機関への就職も考える。「話を聞くだけでは流されてしまう。こちらの主張に導くのは難しいけど、もっと議論の中心にならないと」
神戸市外大4年の早川航洋(こうよう)さん(22)はアフリカのウガンダ代表として、防災がテーマの「経済社会理事会」に参加。意見表明の中断時には、災害に強い都市計画を多国間で協議する場が必要だと各国代表に繰り返し説明した。実際の外交では非公式での話し合いが重要で、交渉術もカギになる。「自分は引っ込み思案だけど、少しは克服できたと思う」と手応えを語った。
神戸市外大の船山仲他学長は「国際社会では声を出さないことは存在しないことに等しい。声をあげるには経験を重ねていかなければならない」と話す。(林将生、金井和之)