さびついた「コーヒーカップ」を撮影するツアー参加者=大崎市古川小野
15年前に経営不振で閉園した化女沼(けじょぬま)レジャーランド(宮城県大崎市古川小野)が、ふたたび熱い視線を集めている。旅行会社が今年始めたツアーは6回とも満員。愛好家が企画した見学会には全国から100人超が集まり、「廃墟(はいきょ)の聖地」と呼ばれるほどだ。所有する後藤孝幸社長(86)が早期の売却を希望していることで、朽ちかけた施設の人気に拍車がかかる。
11月の週末にあったツアーには、51人が参加した。客は男女ほぼ半々。企画した旅行会社「たびのレシピ」(仙台市太白区)によると、8割は県外からの客だった。
仙台市発着の日帰り旅で、ランドには午前10時半ごろに到着。午前中は野外ステージやホテルなど4カ所で後藤社長の説明を受けた。昼食の弁当を渡され、午後5時までが自由時間。観覧車やコーヒーカップ、メリーゴーラウンド……。思い思いに歩き回り、お気に入りの地点でたたずむ。多くは高級カメラを持参。開園中なら上がるはずの歓声は、聞かれない。ひたすらシャッター音が響く。
東京都小金井市の幼稚園に勤める丸山秋実さん(47)は「空き家をお化け屋敷に見立てて遊んだ時の、あのドキドキ感と同じ。本当は人がいない時に来たかった」と言う。
「しんみりしたゲートボール場がよかった」と話すのは愛知県岡崎市から来た会社員近藤さくらさん(24)。「観覧車には人が集まるのに、ゲートボール場は見捨てられている感じだった」
一方で、思い出に浸る人も。地…