鳥飼仁和寺大橋=大阪府寝屋川市
橋を車で渡るのに100円かかる、大阪府で唯一の通称「100円橋」がある。府道路公社は来年2月末に無料化する予定だったが、10年先送りする方針を決めた。バブル期に立てた計画は大きく外れ、債務を返せなかった。府は今議会に有料の延長に同意を求める議案を提出するが、府議から「見通しが甘すぎる」と批判の声も出ている。
橋は淀川にかかり、寝屋川市と摂津市を結ぶ「鳥飼仁和寺大橋」。1987年2月末に供用を開始した。通行料は普通車100円、自転車10円だ。
公社は当初、通行量を1日2万台以上と予想。事業費約100億円を30年で返せると見込んだ。しかし、1日平均の通行量は2002年度の1万5690台が最多で、昨年度は1万685台。この数年は予想の半分ほどで推移し、完済予定だった来年2月末に約64億円の債務が残る見通しだ。
府によると、有料期間を10年延ばしても債務は約55億円残る。うち約20億円は府の出資金だが返還のめどが立たず、府は10年後に出資金を放棄する見込みだ。残る約35億円の返済には公社が積み立てている損失補塡(ほてん)引当金をあてるという。大阪市がバブル期の89年に供用を開始した100円橋の「菅原城北大橋」は市の多額の負担で14年に無料化された。市建設局によると、建設の費用152億円のうち料金収入で返済にあてられたのは6億円で、残りは市が負担した。広島県には橋の維持管理費として普通車100円をとる「海田大橋」がある。(太田成美)