受託収賄罪などに問われ、名古屋高裁で逆転有罪判決を言い渡された岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長(32)=上告中=が、7日の市議会で、議会最終日の19日付で市長を辞職し、出直し市長選に自ら立候補する意向を正式に表明した。市長選は来年1月29日投開票の県知事選と同日となる見通し。
逆転有罪判決の美濃加茂市長、出直し選へ 月内にも辞職
7日の市議会本会議で市長の退職申し出書が朗読され、辞職の期日が全会一致で了承された。藤井市長は本会議で、出直し市長選に出る理由について「不当な判決と闘いながら市長職を続けることに市民の信任をいただきたい」と述べた。
また、「私にかけられた容疑は事実無根。私は潔白だ」と改めて控訴審判決を批判した。一方で「市民に動揺を与えてしまったのも事実。責任を持って市長職を担う大前提として、市民の信託を得ていることが絶対の条件」と述べ、出直し市長選への理解を求めた。
一方、本会議前の市議会全員協議会では、出直し市長選の意思を告げた藤井市長に対し、市議から「腹に落ちない」といった異論も出た。本会議では、共産党の日置祥子市議が「刑事被告人の状態で市長職を目指すのは市民として許しがたい。裁判に専念し、潔白が証明されてから出馬するべきだ」と批判した。
出直し市長選で藤井市長が当選すれば、公職選挙法の規定で任期は現在の任期と同じ6月1日までとなり、5月には再び任期満了に伴う市長選が実施される。仮に藤井市長の有罪が確定した場合は失職し、執行猶予の期間中は選挙に立候補できなくなる。
藤井市長は同市議時代の2013年、設備会社長(当時)から浄水設備導入を市職員に働きかけるよう依頼され、見返りに計30万円を受け取ったとして14年に逮捕、起訴された。15年3月の一審・名古屋地裁判決は無罪だったが、名古屋高裁は先月28日、懲役1年6カ月執行猶予3年、追徴金30万円の逆転有罪判決を言い渡した。藤井市長の弁護団は即日、上告を申し立てている。(松下和彦、増田勇介)