地図や写真を多く使って江戸時代の茶の歴史を紹介する徳満悠さん=大阪市北区のグランフロント大阪
「教員養成系や人文社会系の大学は組織の見直しを」。文部科学省が国立大学に求めた通知が出て1年半。「文系軽視だ」との反発を呼ぶ一方、通知をきっかけに、専門性に特化しすぎて周囲との連携が乏しくなりがちな文系研究の意義を、社会にアピールする動きが出ている。
11月中旬、JR大阪駅前の商業施設「グランフロント大阪」で、大阪市立大文学部の「オープンキャンパス」が開かれた。タイトルは「文学部の逆襲」。受験生だけでなく一般の人も対象に、若手研究者が研究成果を発表したり、教員らが「文学部は役に立たないのか」をテーマに討論したりした。
日本中世史を専攻する後期博士課程3年の徳満悠さん(27)は、戦国から江戸時代にかけて京都で活動した茶商人について紹介した。一般の人を相手に研究発表する機会は少なく、事前に研究仲間と練習。指摘を受け、絵や図を多めに使って説明した。「レベルを下げずにわかりやすく伝えることの難しさに気付いた」と話す。
文学部独自のオープンキャンパスは初めてだ。きっかけは、文部科学省が昨年6月に全国立大に向けて出した通知だ。
通知は、組織の改革を迫る内容で、人文社会系と教員養成系の学部に対して「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう」求めた。
この通知に対して「文系軽視」…