南米コロンビアの首都ボゴタで17日、大統領選の決選投票で投票後、人々と握手するイバン・ドゥケ氏(中央)=AFP時事
南米コロンビアで17日、サントス氏の任期満了に伴う大統領選の決選投票があった。即日投開票され、右派のイバン・ドゥケ前上院議員(41)が、左派のグスタボ・ペトロ前ボゴタ市長(58)を破り、初当選を決めた。選挙戦では、50年以上続いた内戦を終わらせた、左翼ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)との和平合意の是非が争点となり、ドゥケ氏は見直しを訴えていた。
開票率99・99%で、ドゥケ氏は53・98%を得票。合意の尊重を主張したペトロ氏は41・81%だった。就任は8月7日で任期は4年。
ドゥケ氏は勝利宣言で、「私たちは平和をともに作り上げる友人だ。和平合意を粉々にはしない」と述べた。一方で、「正義が行き渡る国を求める、みなさんの意見を前に進める」とも語った。ドゥケ氏は選挙戦で、殺人や誘拐などに関与したとされるFARC幹部が、和平合意によって罪を免れていると繰り返し批判しており、改めて合意の見直しを訴えた。
コロンビアでは1960年代から、複数の左翼ゲリラと政府軍による内戦が続き、計25万人の死者・行方不明者と500万人以上の国内避難民を生んだ。FARCは、中南米最大の反政府武装組織で、一時は国内の3分の1を実効支配したとされる。
2016年にサントス大統領が結んだ和平合意で、半世紀に及ぶ内戦は終結。サントス氏はノーベル平和賞を受賞した。
合意に批判的なドゥケ氏の大統領就任により、和平合意が見直されることは確実。進展している和平の流れに影響が出る可能性がある。誘拐や殺人などに関与したFARC幹部が今後、収監されることが考えられる。また、FARCは和平合意によって合法政党に移行し、幹部が国会議員に就いているが、その議員資格を奪うことなども議論されているようだ。
敗れたペトロ氏は「暴力が国内の不平等を助長した」と和平合意の尊重を訴えていた。
ドゥケ氏の勝利を受け、FARCは「この国に求められているのは全面的な平和、和解だ。良識の発揮が求められている」などとする声明を発表し、和平合意を尊重するように求めた。(ボゴタ=岡田玄)