政府は22日、国家安全保障会議(NSC)を開き、安全保障関連法に基づき平時から自衛隊が米軍などの艦船を守る「武器等防護」についての運用指針を決定した。これにより、弾道ミサイルの警戒に当たる米軍などの艦船を自衛隊が守る運用が開始できる。安保法に基づく自衛隊の海外での任務拡大は、本格的な段階に入った。
武器等防護は、平時と、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」に対応。「自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動」に関わっている米軍などから事前に警護要請を受けた防衛相が、実施するかどうかを判断する。
想定する場面としては、日米共同訓練▽米イージス艦による北朝鮮の弾道ミサイル警戒▽放置したら日本が攻撃される恐れのある「重要影響事態」における米軍への後方支援活動――など。防護は主に米国艦船となる見通しだが、法的には対象を限定しておらず、政府は豪州も想定する。
指針では、防衛相が実施を判断する際、「米軍などから初めて要請を受けた場合」などには、首相をトップとしたNSCを開催するとした。このほか、「警護中に特異事象が発生した場合は速やかに公表」「防衛相は前年に実施した警護結果をNSCに報告」することもそれぞれ明記した。
稲田朋美防衛相は22日の記者会見で「(武器等防護の運用が始まることで)日米同盟の抑止力がいっそう強化され、我が国の平和と安全がより確保されることとなる」と強調した。(相原亮)