記者会見する将棋連盟の谷川浩司会長(右)=27日午後5時38分、東京都渋谷区の将棋会館、葛谷晋吾撮影
将棋の三浦弘行九段(42)が対局中に将棋ソフトを不正に使ったと指摘された問題で、日本将棋連盟から委嘱を受けた第三者調査委員会が「不正の証拠はない」との結論を出したことを受け、連盟の谷川浩司会長らが27日、都内で記者会見をした。谷川会長は「(連盟の対応は)妥当だったとはいえ、三浦九段につらい思いをさせた。申し訳なく思っている」と述べ、謝罪した。
三浦九段「つらく悔しい思いした」 会見で将棋連盟批判
三浦九段は夏以降、複数の対戦相手から「ソフトが選ぶ手と不自然に一致している」という指摘を受けた。連盟の理事らはこれを元に不正を疑い、三浦九段への聴取などを経て年内の出場停止処分にした。
元検事総長の但木敬一弁護士が委員長を務める第三者委は26日、調査結果を発表。指摘された三浦九段とソフトとの指し手の一致率が「不正の根拠にはならない」とし、「不正行為に及んでいたと認めるに足りる証拠はない」と判断した。一方、出場停止処分については「やむを得なかった」との見解を示した。
処分に伴い、名人への挑戦権を争う第75期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)で、三浦九段は11月と12月の対局が不戦敗となった。不利益の救済策の一つとして、連盟は、来期もA級の地位を保証することを決定。当初、三浦九段が挑戦者だった第29期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)は、やり直さないという。
会見で谷川会長は「(処分の時点で)正確な情報を入手しておくべきだった」と不手際を認め、「今回のことで将棋ファン、棋戦主催者、何より三浦九段とそのご家族にご迷惑をおかけしたことをおわび致します」と語った。谷川会長、青野照市専務理事、島朗常務理事の3人の理事報酬10分の3(3カ月)の減給処分も決めた。(村瀬信也)