会見する三浦弘行九段=27日午後3時53分、東京都新宿区、越田省吾撮影
対局中の将棋ソフトの不正利用疑惑で、年内の出場停止処分を受けているプロ棋士の三浦弘行九段(42)が27日、東京都内で記者会見し、処分を下した日本将棋連盟の判断について「本当に残念でならない。元の状態に戻してほしい」と批判した。
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第三者調査委員会が26日に「不正と認める証拠はない」との結果を公表したことを受け、これまで書面を通じて一貫して疑惑を否定していた三浦九段は、約2カ月半ぶりに公の場に姿を現した。
挑戦者に決まっていた第29期竜王戦七番勝負は出場停止処分に伴い、丸山忠久九段(46)が代わりに出場し、渡辺明竜王(32)が防衛した。三浦九段は「そもそも疑惑はなかった。疑われ、出場できなかったのは残念。難しいんだろうが、竜王戦をやり直してほしい。つらくて悔しい思いをした」と連盟の対応を非難。「棋士は対局するのが仕事であり義務。一刻も早く復帰したい」と語った。
会見に同席した横張清威(きよたけ)弁護士は、「不正と認める証拠はない」との第三者委の判断について「事実と相違なく、評価できる」とした。一方、第三者委が出場停止にした連盟の判断を「やむを得なかった」としたことに対して、「連盟に寄り添ったものであり、極めて不当。疑惑は根拠薄弱な状況証拠に基づいていた。単なる一部棋士の邪推に過ぎない」と見解を述べた。今後、名誉の回復や金銭的な補償に向け連盟と協議を重ねていくという。(深松真司)