名人戦の挑戦権を獲得した稲葉陽八段=26日午前0時58分、東京都渋谷区、恵原弘太郎撮影
第75期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終9回戦4局が25日、東京都渋谷区の将棋会館で一斉に指され、稲葉陽(あきら)八段(28)が佐藤天彦(あまひこ)名人(29)への挑戦権を獲得した。名人戦七番勝負は4月6日に東京都文京区のホテルで開幕する。
稲葉八段、同世代にもまれ名人挑戦権 「まだ実感ない」
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9回戦で、単独首位の稲葉八段は森内俊之九段(46)戦の決着前に、競争相手の2敗勢の羽生善治三冠(46)、広瀬章人八段(30)が共に敗れたことで優勝が決定。その後、森内九段を破った。
将棋界の頂点を争う名人戦七番勝負で20代同士が対決するのは、1996年の羽生三冠―森内九段戦以来21年ぶりとなる。
稲葉八段は兵庫県西宮市出身。2008年にプロ入りし、翌年にはタイトル戦出場まであと1勝に迫るなど、早くから頭角を現した。昨年、B級1組から昇級し、名人挑戦権を争うA級は今期が初参加だった。
日本将棋連盟関西本部所属の棋士が名人戦に登場するのは、谷川浩司九段(54)以来11年ぶりとなる。(村瀬信也)
■永世名人の森内九段が降級
稲葉八段に敗れた森内九段はA級陥落が決まった。永世名人の資格を持つトップ棋士が、来期は一つ下のB級1組で再起を目指すことになる。
森内九段は2002年に名人を獲得し、07年に十八世名人を名乗る資格を得た。14年にタイトルを奪われるまで名人を通算8期獲得。名人在位とA級在籍は現役2位の連続22期に達していたが、今期は黒星が先行し、苦しい戦いが続いた。
永世名人がA級から陥落するのは、十七世名人の資格を持つ谷川浩司九段(54)以来3年ぶり。
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森内九段の話 今期は内容も結果も良くなかったので、(陥落という)結果は仕方ないかなと思います。(来期B級1組では)新たな気持ちで頑張りたい。