戦艦アリゾナが沈む米ハワイ・真珠湾の海面に向かって花をまく安倍晋三首相(左端)とオバマ米大統領(右から2人目)=27日午前、代表撮影
オバマ大統領が27日午後(日本時間28日朝)、真珠湾で行った演説要旨は次の通り。
特集:首相、真珠湾訪問
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米国民を代表して、安倍首相の言葉と今日の訪問に感謝する。米国民、特にハワイを故郷とする人々にとって、真珠湾は神聖な場所だ。2400人余の犠牲者を思いおこさせる。
戦争で日系米国人は自由を奪われたにもかかわらず、米国史上で最も輝かしい部隊の一つが、日系米国人2世の第442連隊や第100歩兵大隊だったのだ。私の友人の故ダニエル・イノウエ上院議員も第442連隊に所属していた。
数千万人が犠牲になった戦争の後、日米は友情と平和を選んだ。今日、日米同盟は利益を共有するだけでなく共通の価値観で結びつき、平和とアジア太平洋の安定の礎となって国際社会を前進させる力になっている。世界中で、米国と日本はアジア太平洋や世界の安全保障を強化し、海賊を退け、疾病と闘い、核の拡散を抑え、紛争地での平和維持に努めてきた。
安倍首相が今日この場にいることは、国家間、国民間で何が可能かということを想起させる。戦争は終わらせることができる。憎しみが最も激しく燃え上がる時、民族主義が最も幅をきかせる時、私たちは内向き思考に抵抗しなければならない。異なるものを忌み嫌おうとする考えに立ち向かわなければならない。日本の友人がいう「お互いのために」という気持ちで努力しなければならない。
両国の科学者は共同で、がんの謎を解き、気候変動と闘い、宇宙の探査に行く。イチローのような野球選手がマイアミの球場を輝かせる。互いの誇りを支えに、米国人と日本人が、平和と友情によってつながっている。人間は歴史を選ぶことはできない。しかし、その歴史から何を学ぶかを選ぶことができる。戦争ではなく、平和で勝ち得るものが多く、和解には報復より多くの見返りがあるというメッセージを(安倍首相と)一緒に世界に送りたい。