ベルリンの鷗外記念館の外観。「鷗外」の文字が壁に大きく記されている=記念館提供
明治の文豪、森鷗外(1862~1922)が留学したドイツにある記念館が、常設展を30年ぶりに一新するため、改修を進めている。日本語の案内文も新たに作り、異文化との出会いや鷗外の多面性について紹介する内容に再構築する。ただ費用が足りず、支援を呼びかけている。
記念館は、鷗外の独留学から100年となる1984年、下宿先だったベルリンの建物に「記念室」として造られ、鷗外が通ったフンボルト大学が運営している。家賃などは大学が負担するが、日本人アシスタントらの人件費や催しは入場料や寄付で賄う。年間入場者は、ベルリンの壁崩壊(89年)後の数年間は6千人に上ったが、90年代半ば以降は3千人ほどになった。
今年9月から、10年来の課題だった展示を一新し始めた。鷗外の経歴と作品を紹介するパネルや、「舞姫」の映画のスチール写真、複製のデスマスクなどが並んでいたが、新たな展示は「鷗外とベルリン」に焦点を据える。鷗外の仏語の手紙や留学時代の名刺など新資料も加え、来年3月に再開する予定だ。
改装費用は5万ユーロと見込ん…