熊本地震による液状化で、地中に深く埋まった電柱=2016年6月26日午前、熊本市南区、福岡亜純撮影
熊本地震で起きた液状化や擁壁の崩落などの宅地被害について、熊本市は、再発防止のための地盤改良事業で住民負担をゼロにする方針を固めた。工事着工へのハードルを下げ、早期の復旧や耐震性強化を後押しするため市が費用を負担する。
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同市では、南区を中心に2900戸の液状化被害が確認された。ひび割れや擁壁の崩落などを合わせると宅地被害は4300戸に上る。
将来の災害で被害が再発するのを防ぐための地盤改良工事は、国の「宅地耐震化推進事業」に基づいて進められる。大規模な液状化の被害を受けた地域などでは、道路などの公共インフラと個人宅地を合わせて工事し、個人宅地は国と個人が5割ずつ負担すると定めている。
だが、地盤改良工事の着工には対象地域の住民の3分の1以上の合意などが必要。東日本大震災の被災地では、住民負担が生じることが合意形成の壁になり着工できない自治体が多かった。市は「一日も早い復旧復興を進めるため」、住民負担を全て市の財源で補助する方針を決めたという。
市は宅地被害の詳しい調査のため、12月議会で約1億4040万円の予算を可決した。液状化した地域では1月から対象地域のボーリング調査を始め、地質にあった地盤改良の工法を探る。(池上桃子)