■「全員セレブ? そんなはずないじゃないですか」
虹色に輝くレインボーブリッジを見下ろす、タワーマンションの超高層階。約50人の男女がシャンパングラスを手に談笑し、気が向けばLINEの連絡先を交換する。
最近、東京都内各所で開かれている「セレブ」対象のパーティーだ。参加者はネットで募り、会費は女性が無料、男性が1万円。女性は客室乗務員や大学生、男性は医師、会計士、経営者ら。でもシャンパンに頰を赤らめた女性は「本当は何をやっているのか分からない人、多いですよね」とささやく。30歳前後か、黒いフリルのワンピースに異常なほど白い歯をした彼女自身、素性が分からない。
エンジニアだという男性(35)は「全員セレブ? そんなはずないじゃないですか。そうやって振る舞わなきゃ、女性の眼中に入らないから」と皮肉めいた笑みを浮かべた。
本物のセレブ。その座をつかんだはずだった。4年前、「秒速で1億円稼ぐネオヒルズ族」としてメディアで引っ張りだこになった与沢翼さん(34)。7千万円のロールス・ロイス・ファントムを乗り回し、シャンパンを浴びるように飲み、札束の前でふんぞり返った。
早稲田大在学中にアパレル会社を起業したが、6年目に倒産。復活を期し、アフィリエイト広告を駆使してネットで稼ぐノウハウをまとめた情報商材を販売すると、これが当たり、年商50億円を誇った。
だが、「突き抜けた金持ちキャラ」を維持するために散財を続け、気がつけば法人税が払えなくなり、オフィスを差し押さえられ、車も手放し、「秒速で転落した」。
「ネットの世界では弱みを見せてはいけないから、都合の悪いことは隠していた」
その後、税金は完納し会社を清算。独学で金融商品や不動産などの投資を学び、現在は中東・ドバイで暮らす。今も動静はSNSなどで発信。「もう何も隠していない。等身大の姿」と話すが、最近も再びロールス・ロイスを購入するなど、「セレブ」な暮らしぶりをアップし続ける。