アサヒビールは「コト消費」を促すため、ビールをつぐ楽しさが味わえるパーティーサーバーを全国の飲食店に設置する(同社提供)
ビール大手が、主力のビールブランドの強化を相次いで掲げている。発泡酒や第3のビールを含むビール系飲料の税額統一が今後進む見通しで、これまで割高だった「ビール」の価格が下がり、消費が増えそうだからだ。ビール系飲料全体が伸び悩む中で、各社は伝統のビールブランドをアピールし、消費拡大につなげたい考えだ。
ビール大手4社の2016年のビール系飲料(ビール、発泡酒、第3のビール)の合計販売量は、前年比約2%減少し、12年連続のマイナスとなった。景気低迷で飲食店向けの販売が振るわず、ワインやチューハイなど、他の酒類に需要が分散したためだ。
ビール系飲料の市場は、従来型の「ビール」と、発泡酒や第3のビールがそれぞれ半分ずつを占める。その中で、最近各社が力を入れるのは、従来型の「ビール」のブランド強化だ。
アサヒビールは「スーパードライ」の発売30周年に合わせて限定品を出すなど販売促進を強化。キリンビールは47都道府県別に味を変えた「一番搾り」を目玉に据える。サントリービールは高級ビールの「ザ・プレミアム・モルツ」を刷新。サッポロビールも「エビス」で女性好みの新商品を出す。
背景にあるのが、ビール系飲料の酒税見直しだ。今後の酒税法改正で、ビールや発泡酒、第3のビールの酒税額は、2020年から26年にかけて一本化される見通し。一本化でビールは値下げになるため、各社とも「ビールの消費は増える」(サッポロの高島英也社長)とみている。