福岡県須恵(すえ)町の住宅で昨年8月、10~3歳のきょうだい4人が殺害された事件で、福岡地検は16日、殺人容疑で逮捕された母親(41)について、「心神喪失状態で、刑事責任能力はなかった」として不起訴処分にし、発表した。
兄妹4人死亡、母親を殺人容疑で逮捕 無理心中か
地検は16日、心神喪失者医療観察法に基づき、適切な医療措置を求める審判を福岡地裁に申し立てた。母親は現在入院しているという。
福岡県警などによると、事件は昨年8月22日朝に発覚。当時10歳の男児、6歳の双子の姉妹、3歳の女児の4人が、自宅の布団の上で並んで亡くなっているのを父親が見つけた。母親は自分で手首を切り搬送されたが、命に別条はなかった。
死因はいずれも首を絞められたことによる窒息死で、母親は4人の首をケーブルなどで絞めて殺害したとして、殺人容疑で逮捕・送検された。その後、昨年9月26日から今年1月10日まで刑事責任能力を調べるため鑑定留置されていた。
捜査関係者によると、母親は事件の数日前、「家に盗聴器が仕掛けられている」などと、思い込みとみられる内容の110番通報を2度していた。
また調べに対し「ネットを見て、子どもも私も危害を加えられると感じた」「子どもも私も死なないといけない」と供述。地検は不起訴とした詳細な理由を明らかにしていないが、こうした供述内容や鑑定結果を踏まえ、刑事責任は問えないと判断したとみられる。