トラックは、対向車線側にある住宅の門扉に衝突後、国道をふさいで停止した=17日、長崎県佐世保市矢峰町の国道498号、福岡泰雄撮影
17日午前6時15分ごろ、長崎県佐世保市矢峰町(やみねちょう)の国道498号で、大型トラックがスリップして近くの住宅の門扉などに衝突し、道路をふさいだ。事故で積み荷のタンク3個が路面に落下し、塩酸約2千リットルが路上や近くの相浦川(あいのうらがわ)に流出。市は一時、下流地域に防災行政無線で「川に近づかないで」「家の窓は開けないで」などと注意を呼びかけた。市水道局は川の下流にある取水場での取水を中断した。健康被害の通報はないという。
トラックの後方を走っていたバイクの男性(66)が近くの建物入り口付近に衝突し、腰の骨が折れる重傷を負った。トラックの男性運転手(59)にけがはなかった。対向車線の軽乗用車がタンクの枠にぶつかったが、運転していた男性(50)にけがはなかった。
県警や市、タンクを運んでいた運送会社などによると、タンク2個に濃度20%の塩酸、1個に濃度70%の希硫酸が入っていた。塩酸のタンクはパイプが破損し、ほぼ全量が流出。消防が水を流して薄める作業をした。希硫酸は消防隊員がタンクのバルブを閉め、流出はわずかだったとみられる。
市によると、現場付近の相浦川は、17日午前の検査で酸性を示したが、午後には平常に戻ったという。
事故現場は緩い下り坂。長崎地方気象台によると、佐世保市は17日朝、最低気温1・8度と冷え込んだ。付近の路上では凍結していた場所もあり、県警が事故の原因を調べている。