シンポジウムで意見を交わす(左から)山下泰裕、井上康生、塚田真希、日本スポーツ振興センターの鈴木利一の4氏 全日本柔道連盟の山下泰裕副会長が主宰するNPO法人「柔道教育ソリダリティー」が設立10周年を迎え、20日に東京都内でシンポジウムを開いた。山下氏や全日本男子の井上康生監督、アテネ五輪女子78キロ超級金メダルの塚田真希氏らが参加。「オリンピックを語る」をテーマに、3年後の東京五輪へ向けた日本柔道の強化などについて意見を交わした。 シンポでは、メダルを量産した昨夏のリオデジャネイロ五輪を振り返り、井上監督は「選手、コーチ、スタッフはよく頑張ったが、選手個々の能力を考えれば監督として大成功とは言えない。2020年はそれ以上の結果を残す」と決意表明。「データや映像の進歩は大きい。この活用なくして競技力の向上はない」と述べて対戦相手や審判の傾向などを把握する「データ」の重要性を強調し、リオ五輪であらゆる海外選手の情報を集めた分析スタッフの奮闘ぶりを披露した。 全日本女子のコーチを務める塚田氏は、特に重量級で日本選手と海外勢では体力差があると指摘。筋力やスピードで勝る海外選手に対抗するため、「重量級については、(全日本の)合宿で特別なプログラムを組む方向で進んでいる」と明かした。 「ソリダリティー」は柔道を通じた国際交流や人材育成を目的に、2006年に山下氏が立ち上げた。これまで約4万着のリサイクル柔道着を途上国などに無料提供し、海外の若手柔道家の受け入れや、指導者の海外派遣にも力を入れてきた。山下氏は「柔道だからできる国際貢献や交流がある。今後、日本の柔道界をもっと巻き込んで活動を進めていきたい」と話した。(波戸健一) |
「データや映像の進歩大きい」 柔道シンポで康生氏語る
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