トランプ氏の経済政策への期待感から、米国の株高などによる「トランプ相場」に沸いてきた金融市場。20日の大統領就任演説では、大規模なインフラ投資への言及の一方、「米国第一」を掲げる保護主義的な主張も改めて鮮明になった。世界経済を動かす米国の新政権の「第一声」を市場関係者はどう見たのか。
特集:ドナルド・トランプ米大統領
特集:TPP(環太平洋経済連携協定)
トランプ氏の就任演説が始まった日本時間21日未明。ニューヨーク市場では、円相場が1ドル=115円前後から円高ドル安方向に振れ、一時114円20銭台の円高水準となった。トランプ氏は演説で「新しい道路、橋、空港をつくる」など、インフラ投資や雇用創出に言及したが、具体策が乏しいと受け止められ、ドル買いは進まず、逆にドルが売られた。ダウ工業株平均の終値は前日より94・85ドル(0・48%)高い1万9827・25ドル。演説での保護主義的な姿勢への懸念から、一時前日の終値付近となる場面もあった。
演説内容は「抽象的な話ばかりで具体策はまだない」(みずほ証券の丹治倫敦氏)との受け止めが多いが、新政権は早速、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を求める方針を表明した。改めて鮮明になった保護主義政策に、楽天証券の窪田真之氏は「関税引き上げなど具体的な政策が出てくれば、自動車など日本株にはマイナスに働く」と指摘。週明けの東京市場での取引にも影響が出そうだ。
トランプ氏はこれまでも企業の…