安倍晋三首相は31日の参院予算委員会で、政府の「働き方改革」で課題となっている長時間労働の上限規制策について、「いわゆる過労死基準をクリアすることが前提」と述べた。1カ月100時間、または2~6カ月の月平均80時間の過労死の労災認定基準を超えない上限を定める考えを示した。
政府は、3月末にまとめる働き方改革の実行計画に向け、上限規制は月平均60時間(年間720時間)とする方向で調整している。繁忙期は「月最大100時間」「2カ月の月平均80時間」も認める考えで、首相発言には「過労死にお墨付きを与える」という野党側の批判をかわす狙いがあるとみられる。
2月10日に行うトランプ米大統領との初の日米首脳会談については、「アジア太平洋地域で米国が担ってきた役割が必要だということや国連を始め世界の国々が様々な努力を共同で行ってきた中での米国の貢献の重要性も話したい」と強調。日米関係については、「日米安保条約5条が極めて重要で、いざという時に米軍が来援して共同対処する基本は変わらない。条約は信頼関係があって実効性を持つことを確認し、世界に示す会談にしたい」と述べた。いずれも公明党の山本香苗氏の質問に答えた。(高橋健次郎)