「中国経済生活大調査(2019―20)」の統計によると、2020年、仕事や睡眠の時間を除いた、中国人の余暇は1日平均わずか2.42時間と、18年と比べて25分減った。その数字が多くの人の間で論議を巻き起こしている。科技日報が伝えた。
過労に潜む健康の大きな「危機」
どのような状況が「過労」の範囲内になるのだろう?世界保健機関(WHO)によると、過労状態には、往々にして、きちんとコントロールされていない、職場で長期に渡りさらされているストレスが存在している。そして、▽疲労困憊▽心理的に仕事から離れたくなる、又は仕事に消極的な感情、疑念を持つ▽仕事の効率が悪い--の3つの症状が出る。
中日友好病院・骨科の孫偉・主任医師は取材に対して、「過労は医学的には『慢性疲労症候群』と呼ばれている。通常、労働時間が過度に長く、ハードな仕事をし、心理的ストレスが大きすぎるために発生した一連の心身の健康問題を指す。これにより体の健康全体が打撃を受け、仕事の効率に影響が出る」と説明した。
首都医科大学付属北京友誼病院・神経内科で疲労・憂うつ関連の病気を専門とする劉占東・主任医師は取材に対して、「過労になっている人は往々にして睡眠の質が悪くなっている。例えば、なかなか眠れない、朝早くに目が覚める、睡眠が浅いなどの症状のほか、目まい、頭痛などが発生し、仕事の効率が悪くなっている。深刻な場合、動悸、息苦しいなどの症状もある」と説明する。
この2人の専門家は、「過労は、健康を害するだけでなく、体の複数の器官や系統にも悪影響を及ぼす」と指摘する。その他、過労は、内分泌疾患の大きな原因の一つになる可能性もある。孫医師は「長期に渡り過労状態になると、脳・心血管系統に悪影響が及びやすく、虚血性心疾患、心筋梗塞、動脈硬化、脳梗塞、脳出血などのリスクが増す」と警告する。
過労を効果的に避ける方法は?
劉医師は、「過労は主に、身体の疲労と脳の疲労に分けることができる。身体の疲労は、プロスポーツ選手や肉体労働者などによく見られる。普段の仕事において、運動量や労働量を合理的、かつ適度に配分し、科学的な練習、適度な労働を心掛けるように」とアドバイスする。
脳の疲労は、頭を使う仕事をしている人によく見られる。そのような人は1日8時間以上仕事をすることが多く、退勤後も、脳が興奮状態のままで、十分な休息を取ることができていない。その点、劉医師は、「そのような頭を使う仕事をしている人は、仕事と休養のバランスを保つことを心掛け、長時間、高頻度に残業することをできるだけ避けなければならない。退勤後は、仕事のことを忘れ、リラックスし、休息を取ったり、娯楽を楽しんだりしたほうがいい」とアドバイスする。
孫医師によると、十分な休息や睡眠を取ることのほか、栄養バランスの取れた食事をすることも必要だ。特に、胃腸の調子が悪いなどの過労の症状が既に出ている場合は、肉と野菜の組み合わせに注意し、神経系に良いビタミンBや、ストレスをやわらげてくれるビタミンCを摂取することを心掛けると良い。その他、自分の好みに合わせて適度、かつ科学的に運動したり、家族と一緒に過ごしたりして、ストレスを解消する術を身につけなければならない。新型コロナウイルスが収束すれば、休暇を利用して旅行に出かけて、気晴らしをするのもいいだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年8月18日