経団連の榊原定征会長(左)とあいさつを交わす連合の神津里季生会長=2日午前、東京都千代田区の経団連会館、竹花徹朗撮影
今年の春闘の幕開けとなる連合と経団連の労使トップ会談が2日午前、東京都内で開かれた。トランプ米政権発足で国内景気や企業業績の先行きが不透明さを増すなか、労働側が要求する賃金体系の引き上げ(ベースアップ)がどこまで広がるかや、長時間労働の是正など「働き方改革」が焦点になる。
個人消費を引き上げて景気テコ入れをはかるという安倍政権の旗振りもあり、この日の会談では賃上げの方向性は労使で一致したが、その手段に関しては意見が割れた。経団連の榊原定征(さだゆき)会長が「収益が拡大した企業には(賞与なども含む)年収ベースでの賃金引き上げを求めていく」と述べたのに対し、連合の神津里季生(りきお)会長は「世の中全体への波及効果、消費購買力の底上げを考えた場合は月例賃金(月給)の引き上げだ」とベースアップを主張した。
トランプ政権発足の影響については、「懸念と期待が交錯している」(榊原氏)、「懸念はあるが前向きに考える」(神津氏)と、いずれも当面は状況の推移を見守る姿勢を見せた。長時間労働の是正については、榊原氏が経営側として取り組んでいくと表明。神津氏は「同じ方向性であることは共有できた」と会談後、記者団に話した。