韓国の特別検察官は16日、サムスングループの事実上のトップ、李在鎔(イジェヨン)サムスン電子副会長(48)について贈賄などの疑いで逮捕状を請求した。サムスングループ内の企業合併に政府が協力する見返りに、朴槿恵(パククネ)大統領の支援者、チェ・スンシル被告側に資金提供したなどの疑い。
サムスンをめぐっては、グループの中核企業だったサムスン物産と第一毛織が2015年7月に合併案を決議した際、サムスン物産の大株主だった政府機関「国民年金公団」が賛成票を投じた。
しかし、公団が賛成を決めた経緯が不透明だとの指摘が当時からあった。公団を所管していた前保健福祉相は調べに対し、公団に賛成するよう指示したことを認めているという。捜査チームは前保健福祉相の指示に朴大統領が関わっていた可能性があるとみている。
一方、合併案を決議した前後に、サムスンは朴大統領が設立を主導し、チェ被告が私物化したとされる財団に計204億ウォンを拠出していた。チェ被告の娘の馬術競技や、チェ被告のめいが設立した「韓国冬季スポーツ英才センター」にも資金を提供。李副会長は朴大統領と単独で会談していることから、捜査チームはチェ被告らを支援する見返りに合併に協力するよう求めたと判断したとみられる。
これに対し、李副会長側は朴大統領側の強い要請に応じて協力しただけで、賄賂ではないと反論している。韓国では「特別検察官はサムスンに賄賂供与容疑を適用するという結論ありきで、捜査をこれに合わせてきた印象だ」(朝鮮日報社説)との指摘もあり、裁判所も逮捕状を出すか慎重に検討するとみられる。(ソウル=東岡徹)